ホーム創作日記

 

2/1 ナナフシの恋 黒田研二 講談社ノベルス

 
 くろけんさんイメチェン作戦(かどうかは知らない)第三弾。このところ
青春小説押しで攻めてみているのだろうか?             

 くろけん版「冷たい校舎」かと思いきや、展開にさっぱりきっぱり何一つ
面白味が無い。緊張感もワクワク感も不思議感覚もなく、ただだらだらと話
が続いているだけのような感触を受けてしまった。          

 密室劇らしさ、あるいは青春小説らしさ、本書に於いてはこのどちらかの
成分が(可能であればその両方が)もっと注入されるべき。残念ながら本書
にはそのどちらもが決定的に欠けていたように思う。         

 前作の感想に於いて、私は氏のキャラクタ造型の基本は”属性を付ける”
ことではないかと書いた。本書でもその傾向に則っていると思えるので、や
はりどうしてもそれぞれの顔は見えてこないし、登場人物達が生き生きと動
いてはくれないのだ。                       

 しかしながら、それを逆手に取ったような攻め味は見せてくれる。ペタッ
と大きくラベルを貼ってるが故に、多少のオーバーさは全然OKなのだ。た
とえば、修学旅行のエピソードの悲惨さはなかなかだったと思うが、これも
このラベルがあるから功を奏しているのだと思う。          

 それより何よりこのトリックが成立してしまうのだって、登場人物に「そ
ういうラベル」が貼られているからに他ならない。このラベルがあるからこ
そ、「そういうことをする」のがミステリとして許されるのであって、人間
が描かれたタイプの作品では、決して起こり得ないことだろう。    

 人間を描かないことでトリックを成立させる。道尾秀介とは真逆の方向性
だろうが、ミステリってそれでいいんじゃないのかなぁ? まぁ、一般的な
意見ではないと思うが、私はそう思うし、それを望んでもいいと思う。 

 とはいえ、このバカミスのワン・アイデアのみで長編一冊とは、ちょっと
豪毅すぎやしませんかねぇ? 採点は少なからず残念気味の
6点。   

  

2/5 官能的 鳥飼否宇 原書房

 
 ギャハハハハッ!!!                      

 バカだ! バカだ! オオバカモンだ!              

 短編自体としては大して笑うことも出来ず、偶然のロジックなんてなぁと
思わされたり、そんなには好みじゃないぞと思っていたら、最後の最後にや
られちゃったよ。                         

「やっちまったなぁ〜」

 思いっきりの笑顔で、それでもどっかに一発ドツキ入れてやりたくなるよ
な作品。思いっきりのアンフェアだけど、そんなことどうでもよくなる、だ
って、バカなんだもん、バカなんだもん、バカなんだもん……、嗚呼、頭の
中でバカがリフレインで叫んでるよ。                

 初頭を飾った「パラ・クロ」といい、今年は蹴り入れたくなるよな(褒め
言葉)愛すべきバカミス達が、列をなして待ち構えてるんじゃないかって気
がしてしまうよ。きっといい年になる。間違いないね!        

「何故各章の表題がカーのパロディだったのか?」という、まさかの必然性
まで、(本文にゃあ書かれちゃいないが)きっちりと堪能させていただきま
したとも!                            

 とにかく、このラストの衝撃が大きすぎるが故に、全てが霞んじゃうんだ
よなぁ。それにまた、これがあることが前提になっているわけだから、各短
編の決着の仕方が、どうももやもやしてたのだよなぁ。        

 こういう引っかかりを残しておいて、最後にすっきりと片を付けるという
のは、たしかに一つのテクニックなのだが、読んでいる途中の読み味として
は、若干阻害されてしまってるのは否めないところだろう。      

 しかもラストがここまでの強烈な破壊力だと、整合性云々はもう度外視状
態になってしまうわけで、昔のことを改めてすっきりする余裕などない。

 しかしなぁ。何かあるのは当然ほとんどの人が思っていただろうが、ここ
までとはねぇ〜。恐るべき飛び道具ではあるが、やはりこの一点もフェアさ
が犠牲にはなってるからなぁ(伏線は無数にあるが)。採点は
7点。  

  

2/7 ラットマン 道尾秀介 光文社

 
「人間を描くためには、本格ミステリの仕掛けが最適」という、これまでの
常識とは正反対の持論を展開し、それでいて周りを納得させてしまう野性的
天才肌の道尾秀介。                        

 しかし、本当にそうなのかな? 正直に言えば、個人的には「たしかにそ
うだ」などとは、心から納得できたことはなかった。仕掛けが解かれること
で、見えていた光景ががらっと変わったりはするが、それが人間を浮かび上
がらせる効果を発揮することに直結しているとは思えなかったのだ。  

 しかも近頃は特に空回り気味で、もはや本来の目的を見失い、小手先でミ
ステリを弄び始めたのではないかとさえ危惧していたのだ。      

 いやあ、しかし、本書においてはついに、その真髄って奴を見せつけてく
れたのではないか。もう氏の持論に対し、(少なくとも道尾作品に関して、
という注意文を入れるなら)異論を唱えられる人などいまい。     

 逆転劇の一つ一つが、それぞれに人間の心理を炙り出していく。本格ミス
テリの仕掛けが、たしかに人間を描くのだ。必ずしも新しい手法というわけ
ではないが、主張と共に実作で証明していくのは驚嘆に値する。    

 現代という時代に、「無言実行」というのは決して美徳ではない。自ら主
張し、それを現実に成し遂げる、「有言実行」こそが求められている。むし
ろ「無言実行」よりも「有限不実行」の方がましだってことも、往々にして
あるのだから(勿論、迷惑な場合も多いが)。            

 その「有言実行」を見事になさしめた道尾秀介。本格ミステリの行く末に
新たな光を照らして進む先導者こそが、道尾秀介なのか?!      

 ミスリードの手法で道尾は解ける、そんな私の思い上がりを軽く打ち崩し
て、幾層もの仕掛けとそこに浮かび上がる人間性とを描き出した本作。氏の
現在のところの代表作に異存なし。しかも、まだきっとピークではない。

 本格という次元とは、別の次元上で道尾を語るべきかもしれないが、しか
し間違いようもなく”ミステリ”である。採点は今年上位確定の
8点。 

  

2/13 山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー
                     山口雅也編 角川文庫

 アイロニカルな氏らしく、”本格”という概念を徹底的に捻りまくったセ
レクションになっている。しかし、面白い!と思える作品は、アンソロジー
に採られることも多いものばかりで(従って既読率も高い)、アンソロジス
トとしての氏に期待したレベルは満たしてくれなかったな。      

 しかし、まぁ、捻ったはずのセレクトが、そのままストレートに”山口雅
也らしさ”を感じさせるところが、なんとも面白いところだよなぁ。  

 たとえば”本格ミステリ”のアンソロジーだというのに、解決のないリド
ル・ストーリーにかなりの枚数を割いているところなど、いかにも。  

 但し、これだけ挑戦的な目玉企画の割には、基本的過ぎる二作品がベース
だったのはやはり物足りない。せめて「三日月刀の促進士」が既読でなかっ
たならなぁ。現在では、そう簡単には読めない作なんだろうけどね。  

 しかし「謎のカード」にホックの解決編を用意したように、「女か虎か」
に関しても、解決編(別の作者の手によるものなら、何作かある)が選択さ
れていたのなら、”本格ミステリ”アンソロジーとしての筋が通ったはず。
その一手間が欲しかったというのは、「それも一手」というだけの話か。

 〆を飾る密室物にしたって、敢えての外しっぷりがやっぱり山口雅也的。
密室物の競作「大密室」に、「人形の館の館」なんて作品を書いてしまう氏
ならでは、だろう。ここも四作中三作もが既読だったりするのが悲しい。

 冒頭のユーモア感覚もいかにも氏のセンス(この作品さえもが既読だった
りしたのは、さすがにたまたまなんだろうけど)。漫画編の山上たつひこだ
って、このメタ感覚はどうにも山口雅也だ(これだって既読だし)。  

 絶対に過去読めたはずのない、期待の素人(乾敦)作品は意外に面白くな
いし、せっかくファンである宮原龍雄が選ばれても、基本形作品(ファンだ
ったら当然読んでいるだろう作品)。一番紙幅を割いてある最初の章にも、
これぞという作品は残念ながら無かった。              

 半分が既読で、面白いと思う作品は全部そこに集中していたという、個人
的には肩透かしのアンソロジー。自分としてはせいぜい
6点止まり。しかし
ほとんど(特にリドル・ストーリーの章が)未読ならば、十分にお薦め。

  

2/15 グリンドルの悪夢 パトリック・クェンティン 原書房

 
 全編を覆うブラックな雰囲気の中に、そこはかとなく漂うユーモア感。作
品としてのムードだけではなく、真相までまさにそのイメージ通りのものと
なっている。                           

 ロジックとしての追い込みは弱いけれど(決め手としては犯人指摘直前の
一言ぐらい)、さすがにそこまできっちりとした本格を望むわけにもいくま
い。ちゃんと根拠が示されているだけでも、納得すべきだろうな。   

 しかしながら、たしかに匂いを嗅ぎつけるべきだった伏線やら、ミスリー
ドのやり口などは、なかなかに憎い手管でニヤリとさせられてしまう。 

 サスペンスの味わいに近いかもしれないが、ブラック・ユーモアの両面性
が際立ち、読み心地は悪くなかった。                

 しかし、懐かしいよなぁ。パトリック・クェンティンという名前は、私に
とっては「二人の妻を持つ男」の作者である。それこそ古典読み始めの頃の
もう化石化しそうなくらい過去の思い出みたいなものだからなぁ。   

 それなのに、このダークさ加減なんて、結構現代でも通じるように思えて
しまう。動物虐待って内容も、昔からあることだろうけども、クローズアッ
プして語られるようになったのは、そう以前の話でもないような。   

 それにまたこの真相だって、極めて近代のサイコ・ホラー映画を彷彿とさ
せるじゃないか。古くて新しい、そんな作品なのかもね。採点は
7点。 

  

2/16 秘密4巻 清水玲子 白泉社

 
 グロくなぁ〜〜い!!! 文句言ってるわけじゃなくって、喜んでるんだ
からね。とはいえ、まるでそれとトレードオフにでもなったかのように、ミ
ステリ的な要素もほぼ皆無に。ドラマとしては見せてくれるんだけど、本格
者としては一抹の寂しさが。                    

 割と思わせぶりに始まったのになぁ〜。読者に与えられた情報での、真相
への展開はゼロ。勿論、広義のミステリであることは間違いないだろうし、
漫画としての完成度の高さは文句なしなんだけどね。         

 ただ、やはり本格原理主義者としては、この設定自体があまりにも本格向
きな故に、そういう作品をどうしても心の内で望んでしまうのだ。   

 しかも本作の場合、ホワイにまつわる魅力的な謎が、全編を通じて一本筋
を通しているように自分としては感じられた。事件の真相が少しづつ露わに
なってくるに従っても、この謎は様相を変えて回答を迫ってくる。   

 来るぞ、来るぞ、なんて期待感を抱いてしまうのだよなぁ。しかし、正直
に言えば、それに関しては結構肩透かし。書き手としてはそういう志向で書
いてるわけじゃないんだろうから、自分勝手な方向に期待して、身勝手な言
いがかりを付けてるようなもんなんだけどさぁ。           

 でもやっぱりこの期待感とのバランスで言えば、本作の採点は6点。この
サイトで扱うべきものではもはやないな。これを最後としよう。 
   .

 し、しかし、4月からこれが、アニメって、アニメって。いやあ、綺麗だ
ろうけど、ちょっと怖いぃ〜(動画では見たくない画もきっと)。   

  

2/19 もう誘拐なんてしない 東川篤哉 文藝春秋

 
 相も変わらず、軽妙な(だが洒脱ではない)雰囲気のトリック小説。一貫
してるのは、決して悪いことではない。本作も意外なトリックが炸裂する、
トリック小説の秀作である。あると言えるはずだ、言えるよなぁ、多分。

 しかし、やはり相変わらず凄いトリックを使いこなせていない印象をも、
一貫して与え続けてくれるのは如何なものか?!           

 ってことを一体何回書き続けなくてはいけないのだろう? デビュー作
来、ほぼ毎回のように同じようなフレーズを書いているように思う。  

 一体何が私にそうさせているのか? どうしてそう思うのか、自己分析し
たら、なんとなくわかったかも。それは多分「伏線」なんだな。ないわけじ
ゃない。当然ちゃんと張ってある。しかし、それでもなんだか、心の中に引
っかかっておいてはくれないのだ。これがないから「ああ〜、そうだったの
かぁ〜!!!」と、ぽんっと手を打つ快感、それが味わえないんだよ。 

 せっかく大トリックが埋没してるのに、単純に埋没しちゃってるんだよな
ぁ。成立させるための手掛かりにしかなってない。読者が掘り出せるための
手掛かりになってくれてなくっちゃ。                

 さて、本作については、もう一つ語っておきたいポイントがある。  

 誘拐ミステリには二種類ある、と私は思う。警察の介入を前提としたミス
テリと、そうでないミステリ。そして正しく”誘拐ミステリ”として、王道
の展開を示すのは、圧倒的に前者である。この類の作品の多くは、受け渡し
の方法に、特別な趣向を凝らし、そこが主眼になることが多い。    

 一方後者は、バラエティに富んだ展開を示すことが多く、「受け渡し」と
いう一点集中ではない愉しみを提供してくれる。その分脇が甘くなるので、
良作にするには「誘拐」自体を上回る工夫が必要となる。本書はその典型例
だろう。なにしろ誘拐ミステリに見せかけた
アリバイミステリなのだから。

 ポテンシャルほどの作品になってないのが残念だけど、ギリギリ7点。 

  

2/21 クリスマス緊急指令 高田崇史 講談社ノベルス

 
 著者の非シリーズものの短編集。クリスマス・ストーリーの必然性なんて
ほとんどない、いろいろと”残念”な小品の寄せ集め。        

 特に書きたいことすらない作品集なので、各作品の短評だけ。    

「鏡影」は「EDS緊急推理解決院」の一作。その時の一言感想「あまりに
も牽強付会」だけで、充分言い表せてる気がする。付け加えるものはない。

「クリスマスプレゼントを貴女に」「思い出は心の中で」は、「パーフェク
ト・オールマイティ・コンサルタント」という何でも屋の安楽椅子探偵もの
(っていうか舞台がバーなので、止まり木探偵って方がピッタリかなぁ)。
無理筋だけど、短編としては取りあえずまとまってる方かな。     

「迷人対怪探偵」は、こんな下らないパロディを喜ぶ読者がいると、本気で
思って書いたのかな……って不思議に思えちゃうくらい、ひどい作品。 

「オルゴールの恋唄」が、本書で唯一読めて良かったと思えた作品。偶然の
連鎖が楽しくて、ちょっとセンチでいいではないか。         

「茜色の風が吹く街で」は青春小説っぽい雰囲気だけの作品。     

 とにかくタイトルにクリスマスってのは、ちょっと詐欺に近い気がしない
でもないな。たしかにクリスマス設定になってるけど、ほとんど意味無し。
”こじつけだけが得意技”の氏なんだから(って偏見ゴメン)、単なる設定
だけじゃないところを、もっと見せて欲しかったと思う。       

 なんてこと言うより、そもそも氏に特別な期待などしちゃいけないっての
が正直なとこかも。なんて、なんのかんの言いながらも、ほとんどの作品読
んじゃってる私が言うなってとこだろうけど。採点は低めの
6点。   

  

2/25 犯罪ホロスコープ 法月綸太郎 光文社

 
 仮にもど真ん中の本格を愛する者であれば、ノリリンの新作短編集は読み
逃せまい。しかし、「新冒険」「功績」に続く作品集という期待値で見てし
まうと、物足りなさは否めないところ。既読だった犯人当ての二作品がずば
抜けて出来が良いので、個人的なお得感も薄かったしなぁ。      

 しかし、そんなこと言うのは贅沢すぎる話だろうなぁ。上記二つの短編集
は、特に直球の本格をテーマにした作品集としては、オールタイムベスト級
と評価しても決して評価しすぎではないと思う。そのレベルとの比較の話で
あって、本作が良質の本格ミステリ集であることに疑問は呈さない。  

 そんな中でのベストはもうダントツで、「気分は名探偵」収録の「ヒュド
ラ第十の首」。途中の手袋の推理は、追いかける気力もなくなるくらい、ロ
ジックが複雑すぎるのが難(「ややこしや〜」と、野村萬斎が踊り出しそう
だ。いや、最近はなだぎ武の方か?)。しかし、そこはまぁスルーできるよ
うにして、謎解きの核心ではシンプルなロジックで、読者の予想範囲を一歩
越えたところへ到達させてくれるのが、とってもステキ。       

 第二位は「あなたが名探偵」収録の「ゼウスの息子たち」。双子のロジッ
クにアクロバットを仕掛けた作品。ただ、自分としてそう評点が高くないア
ンソロジーな中でさえ、上位にも選出してない作品ではある。これが迷わず
第二位になってしまうのは、やはり氏の短編集としては寂しいものだ。 

 後は正直どれもドングリの背比べではあるのだけれど、第三位は「鏡の中
のライオン」とする。本人が指摘してるように、サスペンスの方がふさわし
いので、たしかに少々いびつな作品になっている。          

 それに近いことが、全体的な印象をかたどっているようにも思える。星座
シリーズと決め打ちしたが故に、関連性がプロットとして組み込んである。
短編集を連作として愉しめる趣向としては嬉しいのだが、ベタな本格として
は制約なのか、それぞれにかすかなひずみを生んでいるように思う。  

 氏の短編集を読めたこと自体は嬉しかったが、かろうじての7点レベル。

  

2/29 QED諏訪の神霊 高田崇史 講談社ノベルス

 
 いつもよりもチャレンジャブルな題材に挑んでいるところは、好感が持て
る。もうタタルのタタラには飽き飽きしてたからなぁ。        

 謎が謎として認識されていないところに、謎を設定し解決を見出すという
のが、比較的これまでの傾向だったと思う。その題材を選び出すまでの困難
さはあるだろうが、その分自由な発想も許されるとも言えると思う。  

 しかし今回は非常に具体的な題材として、天下の奇祭「御柱祭」を取り上
げて(それを含めて諏訪大社関連の謎色々であるが)、諸説あるにも関わら
ずその謎解きに挑むという結構になっている。            

 謎解き自体の妥当性は置いといて(そういうのはさっぱりわからないのも
このシリーズの特徴でもあるし)、初期の頃のような大胆さを感じさせる趣
向ではあったと思う。説自体の斬新さはさほど感じられなかったけど、こう
いう姿勢だけは取りあえず評価しておきたい。            

 また一方では、それを現実の事件に射影させようという意欲も良かったと
思う。関係のない二つをくっつけただけの作品ばかりだったところで、歴史
推理物はこうでなくっちゃという原点回帰姿勢は好意的に評価したい。 

 そう、評価したい。評価したいよなぁ。ああ〜、でもなぁ、あまりにも無
理筋になりすぎて、説得力の欠片もないのはひどいもんなんだよなぁ。 

「意余りて」ってわけじゃないだろうけど、どう考えても行き過ぎてしまっ
て、トンミス、ダメミスの領域にまで達してしまっている。トンでもない作
品になってしまってるけど、これをいい意味での「バカミス」と評してくれ
る人など、おそらく皆無だろう。                  

 意欲だけの失敗作だが、気持だけは買って、採点は6点。      

  

幻影の書庫へ戻る...

  

  

inserted by FC2 system