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インターネットで選ぶ全日本小説大賞98
投票用紙(海外版)
----- 全体について -----
総評: 国書刊行会を始め、過去の名作、怪作に酔いしれることが出来た1.
年。中でも「赤い右手」のギミックは忘れられない印象を残してくれ
た。 .
----- 個別作品 その1 -----
タイトル1: 赤い右手
ジャンル1: ミステリ 作者名1: J・T・ロジャーズ
点数1: +7
感想1:読む前に書評を読むべきでない作品。現在のところ、収穫ぞろいの
世界探偵小説全集の中でも、最大の収穫。奇想を愛するミステリフ
ァンならば、、、「叩けよ、さらば開かれん」 .
----- 個別作品 その2 -----
タイトル2: 衣装戸棚の女
ジャンル2: ミステリ 作者名2: ピーター・アントニイ
点数2: +6
感想2:なかなかに風刺の効いた新機軸が、非常に面白い。全体をユーモア
にくるんだ中で、被害者の悪辣さだけが強調されていたのも、この
解決への伏線だったわけだ。 .
----- 個別作品 その3 -----
タイトル3: 仮面劇場の殺人
ジャンル3: ミステリ 作者名3: J・ディクスン・カー
点数3: +6
感想3:ロマンスと活劇の要素を持つストーリー展開に、ファースで味付け
された奇怪な殺人、意外な犯人に意外な犯行方法、そしてハッピー
エンド。紛れもないカー・ミステリがここにある! .
----- 個別作品 その4 -----
タイトル4: 猟犬クラブ
ジャンル4: ミステリ 作者名4: ピーター・ラブゼイ
点数4: +6
感想4:猟犬クラブのミステリ談義を始め、全編がとことんミステリ。パロ
ディとも言えるほどにミステリのコードに忠実に従った作品。単純
化された密室の謎と解決。古き良きミステリの興趣。 .
----- 個別作品 その5 -----
タイトル5: 死体をどうぞ
ジャンル5: ミステリ 作者名5: ドロシー・セイヤーズ
点数5: +5
感想5:重厚な厚みの割には、非常に軽妙な読み物。ピーター卿、ハリエッ
ト、比類なき下僕バンターのやり取りが楽しい。ミステリとしても
「使われざるトリック」な味わいが良い。 .
----- 個別作品 その6 -----
タイトル6: 甘い毒
ジャンル6: ミステリ 作者名6: ルーパート・ペニー
点数6: +5
感想6:これだけの作家が、本邦初訳というのは残念。学園ミステリならで
はの、アンケート調査なんてユニークな試みが、解決に生きるとこ
ろも、探偵小説ファンを満足させる出来かと思う。 .
----- 個別作品 その7 -----
タイトル7: ジョン・ブラウンの死体
ジャンル7: ミステリ 作者名7: E・C・R・ロラック
点数7: +5
感想7:特に魅力的な冒頭の謎の提示に長けている作者のようである。プロ
ット作りや全体のムードも良く、英国本格の味わい充分、通して読
みたくさせてくれる作家であった。 .
----- 個別作品 その8 -----
タイトル8: カリブ諸島の手がかり
ジャンル8: ミステリ 作者名8: T・S・ストリブリング
点数8: +4
感想8:探偵小説の驚きという面から云えば、「ベナレスへの道」の最後の
4行に尽きる。それを容易に推測させる巻末の解説は、今年最大の
罪作り。解説者は猛省せよ! .
----- 個別作品 その9 -----
タイトル9: 薪小屋の秘密
ジャンル9: ミステリ 作者名9: アントニイ・ギルバート
点数9: +4
感想9:サスペンスと倒述物と本格とが混ざり合ったような作品。非常にテ
クニックを感じる。但し、前半部での明確な記述を避けて、両方の
解釈を許した方が、より面白味が増したと思う。 .
----- 個別作品 その10 -----
タイトル10: これが密室だ!
ジャンル10: ミステリ 作者名10: ロバート・エイディー/森英俊編
点数10: +6
感想10:本編以上に解説にわくわくさせられる、魅力的な知られざる作家
達。密室の解法(あるいは密室の開放)としては画期的なものは
ないが、状況設定や着想に際だったものが多く、面白い。 .
----- 部門賞 -----
部門名: 最高殊勲賞 部門作品名: 国書刊行会
部門評:ミステリを愛する者に、讀書の大いなる愉しみを与えてくれた。.
是非、第3期もよろしく!!! .