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神麻嗣子シリーズ最終回予想
これって、やっぱり嗣子ちゃんてば、両匡緒の子供(つまり寿美子)なの
だろうか? .
となると、どういう設定があり得るかというと、こういう屁理屈作りは私
の得意とするところなので、ちらっと考えてみよう。 .
まず、チョーモンイン(超能力者問題秘密対策委員会)だから、当然対象
となる超能力者の中には、時間を操れる超能力者もいるわけだ。きっといる
に違いない。そうなると、一つの時代だけに「チョーモンイン」が存在して
いるとは限らない。あらゆる時代に派遣されている可能性がある。しかし、
未来の知識を持った人間を、過去に派遣してしまうと、どこかで未来の知識
が漏れて、タイムパラドックスが生じ、因果律を破壊してしまうおそれがあ
る。従って、過去に派遣する人間は、「チョーモンイン」に関する知識は残
すものの、それ以外の記憶を消されて、送り込まれることとなる。きっと、
そうなるのだ。ほら、そういう気になってきたでしょ(笑) .
さて、ある事件で両親を失い、聡子に育てられていた寿美子だが、ひょん
な事件で(それについては、シリーズ完結後の番外編で読もう(笑))、チ
ョーモンインの存在を知る。そして、過去に派遣される可能性があるという
ことも。両親の死の本当の理由を知りたいが為に、彼女はチョーモンインの
一員となる。そして、希望するのだ。両親が生きていた時代を。たとえ、記
憶がなくなっても、両親が生きていた時代を自分も生きることが出来る。何
か奇跡が起これば、両親を救うことも、あながち夢ではないのでは?!とい
う、一縷の希望すら持って。嗣子の年齢以上(以下?)の幼さも、一度記憶
が消されて、リフレッシュされていることも一因であったりして、、、 .
、、、というのが、隠された設定というのは、いかがなもんだろうか?.
で、勢いに乗って、最終回まで勝手な予想をしてしまうと、こんな感じに
なってしまう。ひょんな事件で(それについては、シリーズ完結作の1作前
で描かれるので、それを読もう(笑))記憶を取り戻した嗣子は、両親の死
因がビルの爆破による爆死(損傷が大きく、身元の確認は出来なかったが、
確かな目撃証言から、確実視されたのだった、、うっく、発想が少年漫画的
かいな?)ということを思い出す。しかし、記憶を取り戻したことが、チョ
ーモンインにばれて、両匡緒に自分が二人の子供であることを告げ、更に二
人の死のことを伝えようとしたその瞬間に連れ戻されてしまう。この引きで
完結1作前の話は終わるのだ。 .
さて、嗣子ちゃんがいなくなった悲しみは、残された二人を強く結び付け
る。そして、産まれたもう一つの命、寿美子。ところが、時を同じくして、
連続ビル爆破事件が始まる。産院で偶然聞いた謎の言葉から、両匡緒はその
ビル爆破に絡んだ殺人事件に巻き込まれていく(なんで、産院とビル爆破が
つながるんだ、ということは西澤保彦に聞いてください(苦笑))。保科の
推理で、殺人事件の犯人が善良な夫婦を装っていた男女(産院に顔を見せた
二人)であり、同時に連続ビル爆破事件の犯人であることが判明する。勿論
シリーズの前提として、そのうちの1人は超能力者なのだ。更に保科の推理
は、次に爆破されるはずのビルまで指摘することが出来た。いてもたっても
いられず、子供を産んだばかりだというのに、両匡緒はさっそく(保科の方
は嫌々ながら引き連れられてしまうのだが)そのビル(夜間は無人)に乗り
込んでしまう。良くある話だが、赤い線、青い線の選択に迫られ、時間に追
われるまま根拠はないまま、赤い線を切る。そのことで、間一髪ビル爆破の
阻止には成功するが、犯人の超能力により絶体絶命のピンチに陥る。 .
一方、嗣子ちゃんは、チョーモンインの圧力に、安々と屈するタマじゃな
い。なんとか逃げ出すついでに、ある大変な物も持ち出して、、、そして、
先程の絶体絶命の状況へ飛び出していくのである。そして、持ち出してきた
なんだか訳の分からない機械を犯人二人に向けて発射、、、しようとするの
だが、ところがその瞬間、すってんころりん、機械から飛び出した光が逆に
両匡緒と嗣子ちゃんを包む、、、 .
はっと気付いたときには、3人は全く見知らぬ場所にいた。 .
(ここからは、小説風に) .
「つ、嗣子ちゃん、今のは一体何?」 .
嗣子ちゃん、てへっと舌を出しながら、平気な顔で言う。 .
「高等能力者用強制排除極限使用装置、略して高強極(こうきょうきょく)
です。レベルの高い超能力者を相手にする場合、危険ですので、いざという
時のみ認められた、強制的に相手を排除してしまう装置ですの。ほんとは、
わたしなんかの見習いが使用することなど、もっての他なのですが、、、あ
の、、その、、許可無しで持ち出してしまいまして」 .
能解さんが、じれったそうに言う。 .
「で、強制排除って、一体ここはどこなの?」 .
「さあ?」 .
「さあって、あなた」 .
「それが私にもさっぱり。一口に『こうきょうきょく』と言っても、種類が
沢山ありまして、わたしなどが普段使えるはずもないので、その効果までは
とんと」 .
「効果も知らないのに、使ったわけね。いつものあなたらしいと言っちゃえ
ば、それまでなんだけど。じゃ、聞くけど、一体どんな種類があるの」 .
「『田園』や『惑星』などがあったんですけど」 .
「それで、あなたが持ち出しだしたのは?」 .
「それが、、、『新世界』という名前でして」 .
「はあ」と能解さんが、溜め息をつく。 .
「どうやら、我々は、パラレルワールドに飛ばされたようだね。でも、まだ
『惑星』よりかはましだったかも」 .
私の言葉に何故だか、元気づけられたように、嗣子ちゃん。 .
「でも、ご安心ください。チョーモンインの道具に、あまりにも非人道的な
ものはありませんから」 .
「とは言っても、以前の世界に戻ることは出来なさそうだね」 .
疑問符をぺたっと張り付けた顔をして、二人が私を見つめる。 .
「だって、僕達は事実戻らなかったんだよね。戻ることが出来たなら、きっ
と嗣子ちゃん、いや、寿美子のところを訪れないはずがないんだから」 .
嗣子ちゃん、今にも泣き出しそうな顔になる。 .
「でも、そのおかげで助かったんだよ。嗣子ちゃん、あそこに駆けつける前
に、あのビルに結界を張ったって言ったよね」 .
「はい、取りあえず、何かのお役に立てればと思いまして」 .
「だから、あそこで爆破が止まったのは、実はあの線を切ったせいじゃなか
ったんだ。結界のおかげで、爆破が抑えられていたに過ぎない。そして、嗣
子ちゃんがこっちの世界に飛ばされて、結界が消えたから、あっちの世界で
は、、、」 .
「ドカンってわけね。じゃあ、正解は赤い線じゃなくて、青い線の方だった
んだ」 .
「おそらくね。僕達はあのビルに入ったところは目撃されていたけど、確か
にあのビルから普通に出た訳じゃないから、爆破現場から見つかった死体が
僕達のものだって思われたのも仕方がない」 .
「じゃあ」と嗣子ちゃん、思わず口を押さえる。 .
「そう、あの犯人達のものだったに違いない。たとえ、犯罪者とは云え、ち
ょっと心苦しいけどね」 .
能解さんも目を伏せている。嗣子ちゃんは、また泣き出しそうだ。 .
「でも、とにかく、こうして親子3人、みんな無事だったんだ。これからは
こちらの世界で生きていくさ」 .
「そうね」と能解さん。「でも、ちょっぴり残念。一大決心して、子育てっ
てものをやろうとしたばかりだったのよ。一旦その気になっちゃったから、
なんだかはぐらかされたような気分だわ」 .
「あら、それなら、まだ遅くありませんわ」 .
にっこりと微笑む嗣子ちゃん。やっぱりこの笑顔には負けてしまう。 .
「わたし、ずっと、弟が欲しかったんですの」 .
(完)