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『ミステリーな夜』ネタバレ感想

 始めに、ちと文句から。あの外人タレントのアリバイだけど、「あんなの
わかるかよぉ!」だよね。壁のカレンダーやら、時計やら、そんなとこまで
見てられないし、そもそも画面で見てわかるのかな?(すいません、巻き戻
して確認などはしてません)ちょっと細かすぎると思う。       

 カレンのカフェのシーンは、一緒に見ていた嫁さんが「これって絶対日本
だよねぇ」と言って、「そうそう、Eメールだと場所なんて関係ないから」
などと話していたのだった。でも、二人とも犯人だとは思っていなかったの
だ。最初に現れた婆さんがカレンの変装姿で、主人公が笛を吹いたら、「は
あい、実はぁ」なんて雰囲気で登場するんだろう、などと思っていたくらい
だったから。解決編冒頭で、カレンではなく安楽椅子探偵(この辺のセンス
がいかにもオタク系ノリの多い新本格派)が登場した時点で、やっと「あっ
じゃあ」と気付いた次第。                     

 しかし、やはり合計4時間は長い。問題編だけで2時間。      

「あのビデオのどれかに犯人映ってるよね」「見返してみる?」「えー、そ
んな気力無い」「だよねぇ」という会話が我が家では交わされたくらい。リ
アルタイムで見てて「応募のために」という要素がないと、なかなか見返す
ほどの気力を振り絞ることの出来ない長さである。          

 さて、その「ビデオにカレンが映っていた」という重要なシーンであるが
これこそ綾辻と有栖川が元々やりたかった根元の部分じゃないのだろうか?
「犯人をはっきりと見せながら、それと気付かせない」、そういう”映像だ
からこそ成し遂げられるトリック”そして、その二人の念頭にあったもの。

・・・それはずばり『サスペリア2』である!・・・

 私はそう推測している。1作目の超常ホラーと違って、『サスペリア2』
はミステリである。超自然要素の全くない犯罪を描いて、最後には意外な犯
人が登場する。この犯人の登場がふるっている。最初の殺人の際に、主人公
は犯人を目撃していたのだ。廊下に並んでいた不気味な顔の画。しかし、そ
のうちの一つは、実は鏡に映った犯人の顔だったのだ。        

 残念ながら、ダリオ・アルジェント監督は、ラストシーンで鏡の中の犯人
の顔は映像に出したものの、冒頭のシーンでは直前で切り替えて映像として
見せてはいない(LDで確認)。この1シーンくらい、はっきりと出してて
も観客は気付かなかったと思うのだが、本当に残念。究極の映像トリックだ
と私は思っているのだが、そういうわけで未遂なのである。      

”映像ならではのトリック”を意識した際に、私と同様二人の脳裏に、この
未遂トリックが浮かんだのではないかと、想像しているのである。それこそ
が、あのシーンにつながったのではないのかと。どうでしょうか?綾辻さん
有栖川さん、私の推測間違ってますか?               

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