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「魔王の足跡」ネタバレ書評

「魔王の足跡」の完全ネタバレです。
必ず、読了後にお読み下さい!

 
まずは犯人。冒頭で”幅跳びやってた”という属性が出た時点から、自分
の頭の中では犯人確定(笑) 視点人物的描写が続く割には、適度にぼかさ
れていたりして、途中で何度か”やっぱり”とほくそ笑んだものだった。

 動機に関して”どうでもいい”扱いがされているのも、個人的には逆に好
印象。不可能犯罪は”不可能”が覆されるところが主眼であるミステリ。余
計な修飾など不要なのだ。機会やら動機やら、複合的な観点から推理を進め
るような、そんなヤワでおおざっぱな(偏見!)ミステリとはちゃう。 

 一点集中。一点突破。不可能なんてことは不可能なるが故に、可能である
ことがいずれ示される。不可能性がきっちりと構築されていれば、そこに示
されたただ一つの突破口はおのずと犯人まで辿り着く。        

 不可能犯罪が解けた先にも犯人当てがあるという趣向も当然あるが、やは
り優れた不可能犯罪は、不可能犯罪を破ることがそのまま犯人当てとなるこ
とが理想だと思う。そのくらい自信のあるトリックで臨んで欲しいもの。

 ちなみに私は今回のトリックは一歩飛ばしだと思っていた。大股で辿って
いって、帰りは反対向きに取り付けて、真ん中当たりを辿って歩く。  

 こうすれば戸口から始まって、戸口に戻ってくることが出来る。これが一
軒だけだったら、あまりにも簡単に見破られてしまうため、数軒で同じよう
な跡が残されていたというわけだ。                 

 つまり犯人の条件は、「戸口まで足跡の行って戻りがある家の住人」とい
う、消去法のとっかかりが作中で示される、と予想していたのだった。 

 
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