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「今パラ」ネタバレ総解説&感想

森博嗣『今夜はパラシュート博物館へ』のネタバレです。注意!

 
「どちらかが魔女」                        

 これは完全に宿題になってる。大きい壁で真ん中ってことだから、ひょっ
としてその釘にひもを付けて、左右対称の確認かなぁ(運動会で円を描く要
領ね)と思った。これで遠近法やら、構図の位置出しをやってたのかと。こ
れが大体正解のよう。一点透視という遠近法の消失点なんだって。   

 作品としては、消失の謎はミエミエにしても、自分の都合のいいように改
竄されてしまう記憶という中心アイデアは面白い。発展性ありそう。  

 
「双頭の鷲の旗の下に」                      

 国枝桃子番外編。キャラ追いの方は必読(?)           

 
「ぶるぶる人形にうってつけの夜」                 

 建物の形が3つで「MOE」を形成している。これで、誰が仕掛け人なの
かが明白になっている。最後に練無に名前を聞くシーンの意味合いがこれ。
明らかにナゾ出しをしてるわけではないので、特に気にもせずに見逃してる
人も、結構多そうな気がする。とにかく、この作品は題名が命っ!こんな題
名付けられたら、もう許すっきゃないよね(笑)           

 
「ゲームの王国」                         

 メタな作品。しかし、キャッスリングだけでオチにしてしまうのは許し難
い。もう1段階落として、何らかの決着を付けてくれなきゃ、すっきり出来
ないよ。メタを免罪符に、作品を完結させないのは、小説家としての逃げ。

 アナグラムは、自作を順番に。で、探偵の名前はMORI HIROSI
を逆から読んでISORI HIROM。だけど、メテ・クレモナって何?
アナグラムならもっとマシなもんが作れそうだから、これも逆読みかとも思
ったがわからず。ラテン語とかそういうんじゃないだろうな。     

 
「私の崖はこの夏のアウトライン」                 

 理屈こねるのが真骨頂の森だけに、こういう幻想譚はいまいち。   

 
「卒業文集」                           

 後味の良くない作品。こういうのをショートショートのオチにするには、
ウェットな作風でないとね。ドライな氏に語られると、逆に不快感がある。

 
「恋之坂ナイトグライド」                     

 ホーク、イーグルは文字通りと考えるべきなんだろう。アルバはアルバト
ロス(あほうどり)? チュチュは何かな。雀(チュンチュンから)かとも
思ったけど、内容的に渡り鳥のはずだから違うよね。         

 
「素敵な模型屋さん」                       

 今回一番好きかも知れない作品。模型って全然興味持ったことってなかっ
たけれど、定年後は古本屋やりたいなんて、実現はしないだろうけど思った
りもする自分にとっては、そういうのに置き換えてみたらね。     

 
「今夜はパラシュート博物館へ」                  

 さて、最後は題名。結局内容とは何の関係もないと思うけど、意味無しジ
ョークみたいなもんかな。パラシュート博物館ってのは、間違いなく寄生虫
博物館からの連想だろう(パラサイト→パラシュート) 捻りなくそのまま
なら「今夜は寄生虫博物館へ」 ひゃあ〜、夜は潜入したくないな(笑)

 

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