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「神様ゲーム」ネタバレ書評

麻耶雄嵩「神様ゲーム」の完全ネタバレです。
必ず、読了後にお読み下さい!

 
 私の解釈は勿論、「神様は絶対」である。これ以外などあり得ない。 

 絶対でなければ、メルカトル鮎に付いていくことなど出来ないだろう。メ
ルカトルが間違うことなどないように ……あったっけ?ないよね。あった
としたら、それは間違いなくネタだもの。もっとも、人として間違ってるこ
となら、やり放題ではあるけどね(笑)…… 麻耶世界に於いて、神様が間
違うことなどあり得ない。                     

 あっ、そうそう、その前にまずは”神様”が存在し得るか、から始めなく
っちゃね。これまた引き合いに出すのは、メルカトル鮎。こういう絶対の存
在があり得るのだから、”神様”は存在し得る。もって証明終わり。  

 ちょっと待てよ。「メルである故に絶対である。絶対であるが故にメルで
ある」というような論理のループ構造とか、自己言及型論理で誤魔化してい
るような気もするが、まあいいか。それでこそメルという気もするし。 

 ちなみにここで言ってる”神様”とは、普遍的存在の神様って限った話じ
ゃなくて、あるいは”神様的存在”ってだけかもしれない。たとえば鈴木太
郎は超人的な推理力と魔術めいた仕掛けを得意としていただけで、その平凡
な名前を嫌ったその人物が、後にある別の名前を名乗っていたとしたら……

 

 おっと、とんでも無いところまで話が逸れてしまったようだ。本題に戻ろ
うじゃないか。「神様が絶対」という前提に立てば、いったい事件はどう解
釈すれば良いのか? 一見リドル・ストーリー的に読者に解釈をゆだね、作
者は解決を逃げていると捉えかねないかもしれない。なにせ、読者を彼岸の
彼方に突き放してくれた、あの「夏と冬の奏鳴曲」の作者なのだから。読者
に混乱を与えることこそ、作者の勝利条件!             

 いやいや、今回はそれは当てはまらない。何故なら本書中に事件の解決は
はっきりと示されているからである。中盤で否定されたはずのトリック。井
戸の蓋のトリックの方こそ、真実だったのだ。            

 P12「母さんが小さいから」、燃えているシーンでの「小さな躰」と、
母親の背の低さは記述されている。また、この推理が披露された際のミチル
の凍り付いた表情や、「運が良かったのね。わたしたち。」(P214)と
いう台詞など、これが真実と考えると意味深く思えて来るではないか。 

 しかし、年配女性と女子小学生。想像したくないおぞましさだよなぁ。と
いうか、こんなん絶対に誰も想像しないはず。根拠も伏線も(背の低さだけ
じゃね)必然性のへったくれもないといえばないわけだし。それにしたって
いつもいつもどうしてこんなにとんでもないのよ?!         

 
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