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ジョーカーねたばれ書評
(「コズミック」のネタバレもあります、注意!)
まず、魅山薫のところから始めよう。 .
今回唯一面白かったのは、「すべては(華麗なる没落の為に)」
であった。こういう折り込みだったらいいんだけど、その他に関し
ては、またかよってだけで、真面目に検討する気も起こらない。.
源氏物語の見立て(闇合?)に至っては、奇をてらっただけで、一
瞬人を驚かす効果はあるが、いったいどんな意味があるのか、悩ん
でしまう。まぁ、悩む必要はないか、「コズミック」の松尾芭蕉や
曹操と同じく、単に大きいことしてみたかっただけ、というような
安直なノリなんだろうから。 .
まぁ、でも、ここまではまだ少しはましだったと言えよう。「決
して解かれない謎」なんて大見得を切りまくってる割には、普通の
ミステリじゃないかという不満はあるにせよ、、、 .
しかし、ついに、驚愕の(けなし言葉)実行犯の登場!!! .
おいおいおいおいおい!!!!キャッチボールしてたから、それだ
けのコントロールがある、しかも1500枚も書いておいて、根拠
はそれだけかよぉ〜〜〜〜〜!!!!唖然、呆然、呆れ果て。 .
ミステリとして成立するための、最低限のルールというか、最低
限の礼儀といったものを無視した行為じゃないだろうか。説明があ
るかと思えば、「ダレデモイイ」と来たもんだ、「決して解かれな
い謎」の正体は何かと思えば、伝家の宝刀みたいに、オールマイテ
ィーカードのように出てきた「密室教」というオチだったわけだ。
「ジョーカー」の本当の意味あいは、きっとこれなんだと思う。何
にでも使える新本格最凶のカード(笑)、「密室教」と言う名のジ
ョーカー・カード。困ったときは、これが切り札(怒) .
「コズミック」では、充分許した。SF的な解決でも持ってこな
いことには、これに結末が付けられるはずがない、としか思えず、
探偵達が次々に本質を悟っていく中で、私は最後まで気付かなかっ
たから、集団狂言という一発バカネタは、それなりに好きと言って
もいいほどであった。 .
しかし、それはあくまでも一発ネタでしょう?2作目まで引っ張
って、しかもそれを持ってくることで、全ての説明を不要としてし
まうのは、読者への背反行為に他ならない。 .
最大限に好意的に解釈してあげれば、「密室教」というのは、シ
ョッカーみたいなもんで、JDCはライダー・チームなわけだ、そ
れぞれの事件の実行犯はショッカーの怪人で、だからこそ作戦(犯
罪)自体も変なものばかりなんだろう。芭蕉や曹操も、ただの幹部
(死神博士(=イカデビル)みたいなもん)に過ぎず、背後には更
にダミーの黒幕、ダミーの黒幕の後ろに存在している、ダミーの真
の黒幕、さらには、真のダミーの真の黒幕、真の真の黒幕…が存在
しているのかも知れない。そういう特撮ヒーローものの構造として
楽しむしかないわけだね、清涼院流水のJDCものは。 .
ま、ここまで貶していながら、次回作も読んでしまうのだが、、
これも悲しいことに、新本格読みのサガなのだよ(涙) .