三つの棺(雑記帳)


第1の棺:冷たく熱く燃ゆる”ミステリ”なるものの棺
第2の棺:とどめることあたわぬ”想い”なるものの棺
第3の棺:うつろいゆく軌跡たる”行動”なるものの棺
 
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2000年08月16日(水)
  大相模カントリークラブ

 今朝、「大相模カントリークラブ」のバスを見かけた。
誰もが字面を見て思うとおり「おおずもう」などと、地
元では呼ばれている(かどうか定かではない(笑))。

 ふと頭の中で日本語訳してしまった。「カントリーは
まぁ”田舎”やな。クラブは”部”とか”同好会”みた
いな奴だから」
 で、頭の中で完成した訳語が...


  ・・・ おおずもう田舎同好会 ・・・


「やっぱり田舎の空気はごっつぁんでごわす(意味不明)」
とか言いながら、えくぼ付き白玉穴入れ遊戯にいそしん
でいる関取の姿が脳裏に、、、

 はたまた「環境破壊はどすこいでごわすぅ〜〜(また
また意味不明)」と、力士の大群が玉転がし運動場を占
拠して、地響きを立ててしこふみデモを行っている勇
姿(?)が脳裏に、、、

 みんな京極がいかんのや。
まだ『どすこい』後遺症が残っているらしい。


2000年08月14日(月)
  Q.E.Dと麻耶雄嵩

 土日に、『Q.E.D7巻』及び『木製の王子』読了。

『Q.E.D』は今巻は内容的には寂しい。1話目は話
としては面白くないことはないが、単にそれだけでミス
テリにはなってないしね。2話目もインパクト弱し。 

 さて、麻耶雄嵩。彼らしい世界観の構築が実にいい。
でも、残念ながら、ワン・アイデアで終わってしまった。
これだけは最高にいいのだが、それを支えるサブの部分
が、今回はなきに等しかったのだ。

 作中のアリバイ崩しは、作者としての苦労はわかるが、
こんなものまともに考えてくれる読者などいないでしょ。
しかも、こういうシチュエーションなら、ミステリファ
ンなら”この前提”から始めるのは常道中の常道(考え
るならここからだな、とは思ったものの取り組む気力な
ど、あるわけもない)。この前提から始めるメンバーが
一人しかいないなど、ちょっとお粗末すぎないか。

 仮に頭絞った読者がいても、全く奇をてらったところ
のない(そういうものだけを期待しちゃいけんのだろう
が)この平凡な解決では、ちっとも努力は報われまい。
サブとして、ラストの本質的なワン・アイデアを支える
ものが、是非とも欲しかったところだ。

 ところで、この題名っていったい何なんだよ?


2000年08月11日(金)
  FFIXのエンディングを見た!

 結局、なんのかんの言いながらも、家に帰るとプレス
テ2の電源オンという日々が続いてしまったのだ。根が
ナマケモノなのか、好きなものはしょうがないというか
とにかくやってしまうのである。抑制力として働く人物
(笑)がいないから、とどまるところを知らず、なのだ。

 というわけで突き進んだ結果、やっとエンディングに
到達したので、感想を書いておこう。

 FFシリーズとしては、久々のヒット。4,5で頂点
を極めて、6,7,8とグラフィックスのレベルと正反
対に、順々に面白くなくなってきていたFFシリーズだ
が、ここでやっと頂点の頃の雰囲気に少し回帰出来たよ
うな気がする。やっぱファンタジーでなくっちゃね。こ
の点を7,8では特に失敗していたよね。

 ただ、ラストのラストはイマイチだったかなぁ。私の
やりこみ度が足りないのか、理解力が悪いのか、結局ビ
ビってなんだったの?というところが、よくわからずに
終わった。最後の敵(いつもながら唐突に出てくる存在
だったよなぁ)も弱っちかったし。まぁ「いつでもヘイ
スト」「いつでもリジェネ」は強力過ぎるよなぁ。

 ラストダンジョンだとは思わず、半分眠りこけながら
やってたのでもう一度、ダンジョンやり直してみようか
と思う。パーティーにビビ入れといた方がいいのかな?


2000年08月09日(水)
  麻耶クン結婚!


 麻耶雄嵩の待ちに待った新刊が登場した!
『木製の王子』
 なんだか凄い家系図が出てきて、麻耶らしい世界観が
期待できるかも知れない作品だ。

 ところで、問題は扉の折り返し。
「結婚しました」と一言。

 ひょっとしたら作中で結婚しそうな鳥有のことかもし
れないとも思って、MLで問い合わせをかけてみたが、
どうやら本人も本当に結婚したらしいのだ。

 うーん、これで守りに入ったりとか(どう守る?)、
毒気が抜けたりとかしなければいいんだけどなぁ。


2000年08月03日(木)
  星を夢見る

 昨日、岩本隆雄『星虫』(朝日ソノラマ文庫)読了。

 誰だってあるんじゃないかな、星を夢見たこと。宇宙
に飛び出してみたくなった気持ち。なんだかそんな凄い
懐かしさが、ちりっと胸に刺さった。

 星を思い出すことって、夢を思い出すことに似ている
気がする。夜見る夢じゃなくて、未来を見る夢。星を夢
見るように、夢を夢見る。


 小さい頃の自分にとっては、星が果てしなく遠かった
ように、未来も果てしなく遠いように感じられたから。
ひょっとしたら、そういうことかもしれないね。

 今、自分はその頃の自分にとっての未来にいるわけな
んだよね。夢はどうだったかわからないけれど、きっと
充分な幸福は手に入ってるんだと思う。子供を見ている
と、そんな気がするよ。

 夢を夢見るように、星を夢見る。子供である君には、
未来は無限に広がっている。夢をつかむことが出来るよ
うに、星だってつかめるかもしれないね。

 なんかこういうことを言わせるんだよ、この本が、さ。
星を夢見たことがある人には、お薦めしておきます。


2000年07月31日(月)
  結末付けてみませんか?

 土曜日は、Mistery-z MLの関東オフ会。高田馬場の喫
茶店、渋谷の飲み屋でミステリ談義(?)してきました。

 さて、それはともかく金曜日に『前夜祭』読了。『堕
天使殺人事件』に続く、新世紀「謎」倶楽部での連作と
なる。執筆順に芦辺拓・西澤保彦・伊井圭・柴田よしき
愛川晶・北森鴻
の6名によるもの。

 もう連作はいいか、と買うつもりもなく通り過ぎよう
としたら、帯を見ると、なんと読者公募があるではない
か。一応本編での解決はあるのだが、更にその裏の解決
を読者に考えさせようという企画
だったのだ。こういう
ものには弱いため、ついつい買ってしまいました。

 ところがこの連作、北森、愛川の両氏が原案を考えて、
ある程度の展開と伏線を各執筆者の義務としている。執
筆者間の打ち合わせもOKというルール。ある程度の質
を確保するためだろうけど、なんだかなぁ。そういうの
って連作の緊張感が薄まっちゃう。原案通り『ハリーの
災難』風展開は面白いんだけど、予定通りってのもなぁ。

 たしかに幾らでもネタは作れそうではあるので、誰で
も公募の挑戦出来そうな作品。逆にそういうのも挑戦意
欲を削いだりもするので、私はお〜〜りた。


2000年07月25日(火)
  行き過ぎた技巧派

 昨日、芦辺拓『和時計の館の殺人』読了。

 以前私は芦辺氏を表題のように評したが、本書などは
その面目躍如の好例。和時計をモチーフにどう絡めてく
るかと思ったら、全てにおいて徹底的に絡まりまくって
いるとは。

 この知的作業のレベルの高さはまさに驚異的。材料か
らこれだけ工夫を凝らした料理を造り上げる腕前は、歴
代のミステリ作家の中でも文句無くトップクラスだろう。

 でもでも、悲しいことには、その造り上げられた料理
は何故だか味気ないのだ。あえて「造る」という言葉を
選んだのは、それがひょっとしてこのいつもの印象の原
因ではないかと感じているからだ。

 なんだか人工的な印象。技巧が凄いが故に、それが逆
に物語上の違和感さえ産み出しているような。やはり、
”行き過ぎた技巧派”、その言葉に戻ってしまうのか?


2000年07月24日(月)
  ひとりかも寝む

 里帰り出産する妻と息子を伴って、ここ数日九州に帰
っていた。これから2ヶ月以上独身生活の始まりである。
土日はいつも息子と遊んでいる超マイホーム人間の私と
しては、寂しい限り。

 一人で気ままに暮らせると喜ぶタイプと、一人なんて
と寂しくなるタイプと、結構両極端に分かれるようだが、
私は典型的な後者タイプ。

 帰ると灯りのついている家。愛する者の声が待ってい
る家。そういう当たり前が、ささやかながらも実はとっ
てもおっきな幸せが、今そこにない寂しさ、侘びしさ。

 あったかくないんだよね。いやま、猛暑だから、帰る
ともの凄い熱気が待ち受けているわけなんだけど、心理
的には冷たい我が家で、しばらく暮らすしかない。

 しょうがない。FFIXを、、、いかん、いかん、そ
れよりも新本格推理の応募作を。いやいや、それより、
む・す・め〜の名前を考えなくっちゃ。多方面からプレ
ッシャーかかってるのよね(泣)


2000年07月18日(火)
  ひかわとはやみね

 一昨日『密室は眠れないパズル』、昨日『少年名探偵
虹北恭助の冒険』
を続けざまに読了。

 氷川透は、全体的な面白味はデビュー作より上。ただ
し、論理性に関しては今回の方が落ちる。そもそも不可
能犯罪のハウダニットを、消去法で論理展開するのは、
問題有り。不可能犯罪は、あり得ないところから、一つ
だけの解答を見つけだすのが主眼。「これはあり得ない」
と消去していく中に、見落とされている解答がないなん
て言い切れない、という思いが残る。フーダニットで、
条件を提示しそれに合わない人を消去して作業とは、根
本から違うものである。
 犯人の行動にも、心理的に大きな矛盾点があると思う。
作品としては充分満足作なのだが、何かしら割り切れな
いしこりが残っているのである。

 はやみねかおるは、物足りない。これを講談社ノベル
スで出す必然性が感じられない。夢水シリーズの方がよ
っぽど新本格的。作中の「映画」やメヌエット賞などに
わずかにその片鱗が残っているが、そういったパロディ
要素を除いては、より一層のジュブナイル化。
 夢水シリーズの奥底に色濃く流れる本格へのこだわり
を、より一般読者に向けて強く押し出した作品を期待し
たいのに。
 はやみねかおるはスタンスとして、そういう作品を上
梓する気持ちはないのだろうな。残念だ。


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