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『ベーカー街』ネタバレ書評

『QEDベーカー街の問題』の完全ネタバレです。注意!

 本書の解決の一つとして、ミステリとしては、普通はあまり歓迎できない
多重人格が登場してくる。しかし、非常に曖昧な描き方がされている。これ
が果たして多重人格なのか、妄想に過ぎないのか、あるいは意識下で作り上
げたものか、クスリの影響なのか、よくわからないようになっているのだ。
これは本書の中で展開した自説、あるいはホームズ学全般を反映させたもの
なのだろうと思う。                        

 モリアーティーの存在がまさにこれに当たる。ホームズ同一人物説、ホー
ムズの妄想説、クスリの影響による妄想説、あるいはホームズが計画的に作
り出した架空人物説など様々な説があるが、これがちょうど解決に重ね合わ
されているわけである。そういう重ね合わせと見れば、それなりに納得のい
く解決と言えたりしないだろうか?(特に擁護はしないが)      

 更に一歩踏み出して言えば、最後の最後の解決。誰もが架空の存在だと信
じて疑わなかったはずの妹の登場。これこそ、ホームズファンが夢に抱く、
実在のホームズの登場を、パロディの中に描いたものだとしたら。   

 、、、な〜んて、深読みのしすぎなんだろうけどさ。        
 

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